中高音用「ウッドホーン」

1インチドライバ用カットオフ500Hzのデフラクション・ウッドホーンです。

1インチ500Hzカットオフのデフラクションホーンです。 材料はフィンランドバーチで製作しました。

フィンランドバーチとは,フィンランド製の合板でありその材料はホワイトバーチ(白樺)です。 ただ,同じ白樺でも日本のものよりは硬質のようであります。 フィンランドバーチは,ウッドホーンやスピーカーボックスに珍重されているものですが,固く重いため加工はやや難しい部類に入るでしょう。 しかし,加工上で切れが良く仕上がりも悪くないので,その点では外観を重要視するプロには好まれるのかも知れません。
スロートアダプタはチーク製です。 適当な厚さのものがあれば,これもフィンランドバーチで製作することも可能でしょう。
フィンランドバーチを切り出し,2枚重ね合わせたところです。 上方の小さな四角穴は,スロートアダプタを止めるためのナットを組み込むためのもの。 下の大きな四角穴は,ウェイトを組み込むためのスペースです。 ここに金属をエポキシで固めます。

ウェイトは,一番振動しやすい「ひさし」部分内部に組み込みます。 これによって,材質の密度が部分的に変わるため,制振効果が現れます。 ウェイトは「密度を変える」ためのものであり,メチャメチャ重い必要はありません。 重すぎると,今度はその部分を節にした振動が始まってしまいます。 本当は,振動を解析して共振点を求め,振動の節と節の間の割り切れない点(例えば1/1.73205・・・の点)にウェイトを置くのが正式なのですが,そこまではとても出来ませんし効果もそう違いはないと思っています。
薄い板を切り出したものを,こうして重ねます。 多層に重ねることにより,カーブの精度が向上します。

なお,上の写真にもある小さな穴は,接着時にズレないようダボを差し込むためのものです。
フィンはチークで製作しましたが,これも適当な厚さのフィンランドバーチがあれば,バーチでも良いでしょう。 ただ,異種材料を使用することにより「制振効果が向上」するとも考えられますので,どちらが良いかは今のところ判りません。
横から見たところです。 穴を埋めた丸い個所は,木ネジで側板をしっかり止めた痕です。 四隅の小さなマル点は,位置合わせのためのダボの痕です。 側板は通常見えるところではありませんので,これらの傷を無くす手立てはとっておりません。
スロートアダプタを外したところです。 スロートアダプタも,500Hzカットのホーンの一部としての開口カーブを持つように「厚さ」が決められています。
塗装は,「メープル」色のオイルステイン下処理の上につや消しのニス仕上げ。 ニスも,信頼性の高い油性のものを使用しています。