*** ホーンの種類 ***

ホーンには色々な形状があります。 ただ,共通な点としては,その断面積が一定割合で大きくなっていると言うことをあげることが出来ます。 すなわち,どのような構造においても面積としてみた基本構造には変わりがあるものではありません。

*** 円形ホーン ***

ホーンドライバの開口面は,通常1インチ又は2インチの円形となっています。 従いまして,その円形をそのまま引き継いで面積を大きくするというこの「円形ホーン」は,ホーン形状の基礎であり素直な構造であると言えます。 音響的見地では,無理な点,不連続な点が無いことでこの構造を高く評価する人も多くいます。 ただ,構造的見地からすると「コンパクトにはおさまりにくい」という点が実用上問題点となっています。 大型のものは,ウッドホーンでは作りにくい構造です。 小型のものですと,丸くくりぬいた板(順次半径を大きくしたもの)を重ね合わせ,段差を埋める(又は削る)方法で実現できます。

どのような形状のホーンにも当てはまることですが,寸法が長くなると「折り曲げる」ことがあります。 その場合には,折り曲げの影響を小さくするために,折り曲げ半径を折り曲げ場所の寸法に比べて充分に大きく取る必要があります。
*** ラジアルホーン ***

左図では判り難いかもしれませんが,相対する一面が曲面で他の面が平面構造のホーンです。 通常は,左右が曲面上下が平面となっていますが,上下が曲面で左右が曲面でもかまいません。 ウッドホーンとしては作りやすい構造です。 なお,ドライバの開口面は円形ですから,これを角型に変換するスロートアダプタが必要となります。 ただその場合でも,円から角に変換される過程で,そのホーンに合致した面積割合で面積が増加するスロートアダプタが必要となることを忘れてはいけません。 円から角に変換するのであれば,「どのような長さのスローとアダプタでも良い」と言う訳ではありません。
*** バイラジアルホーン ***

これも左図では判り難いかもしれませんが,上下左右の壁面が全て曲面となっている構造です。 曲面の合わせがなかなかピチッといかず,ウッドホーンとしての製作は難しい部類に入ります。 設計するとすれば,円から長方形へ断面を変換するスロートアダプタを作り,本体ホーンはその長方形の比率のまま断面を大きくする構造にするのが良いと思います。 これまでのホーンに共通することですが,断面の寸法が波長より大きくなってくると,その段階で自由空間と同じこととなりホーンとしての拡散効果は期待できなくなります。 すなわち,高域のパワーはホーン正面周辺に集中することになります。 このことは,「高域で指向性が低下する」と言う現象となります。
*** 平面ホーン ***

「平面ホーン」という言葉が正しいかどうかわかりませんが,円形ホーンで言う「コニカル(円錐形の)ホーン」の変形です。 4面とも平面で構成されるホーンで,これでも音が出ないわけではありません。 主に低音のショートホーンとして使用されます。
*** セクトラルホーン ***

小型のホーン(通常はバイラジアルホーン)を寄せ集めたもので,極めて指向性が優秀な理想的ホーンです。 高域に至るまで安定した指向性を得ることが出来ます。 製作が極めて難しく高価となってしまうため,最近ではあまり見られなくなりました。
*** デフラクションホーン ***

このあたりになりますと,絵に書くことが難しくなりますので写真となります。 このホーンは,セクトラルホーンの指向特性を保ちつつ,比較的製作が容易な構造を実現したものであり,中高域ウッドホーンとしては現状では最高のものであると思います。 スロート側から途中まで内部空間を区切る「フィン」があり,開口側は通常のホーン構造になっています。 この「フィン」の効果により,高域の指向特性には抜群のものがあります。 詳しくは別項にてその構造を解説しています。