海上で使用する距離の単位について

帆船時代を背景とする冒険小説を読んでいると,一般には聞き慣れない距離の単位がさかんに出てきます。 知らなくても大筋を見落とすことは無いとは思いますが,知っていればその距離感が想像でき,理解を深めることができると思います。 そこで今回は,海上で使用する距離の単位について調べてみました。 ただ,調べ方が良くないためか,細かい点が不明確な所もあることをお断りしておきます。
2005-12-21

単位について 具体的長さ その説明
海里(マイル) 1海里=1852m 1海里は1852m。陸上で使用するマイル(ランド・マイル)は1マイルが1620mと,異なるので注意を要します。
なぜ
1海里=1852m?
緯度1度=60海里
すなわち
1海里=緯度1分
緯度1分が1海里(マイル)と決められています。今でも海図上の距離を測る場合,その2点間をデバイダに取り,緯度目盛にその寸法をあてて計測しています。ちなみに,分の下は陸上では「秒」ですが,海上では小数点以下の分で表現します。例えば,1分30秒は1.5分(1.5海里)と言うように。
1海里=緯度1分
という値は正確?
正確には
赤道上で
経度1分=1海里
回転楕円体で近似できる地球の緯度1度の距離は,実は緯度によって少しではありますが異なります。例えば東京付近ですと1度は60海里ではなく59.8海里ほどしかありません。この事実は航海士の方にも知らない方が多く,これが現実に不具合を招くことはまずありません。正確には,赤道上での経度1分が1海里なのです。
リーグ 1リーグ=3海里
従って約5560m
本を読んでいると時々「リーグ」と言う単位が出てきます。1リーグは3海里と言うことですが,なぜそうなのかは分かりませんでした。フランスあたりがその起源なのかもしれません。
ケーブル 1ケーブル=約185m ケーブルという単位も冒険小説によく登場する単位です。1ケーブル185.4mと言う注釈もありましたが,これが正確であるかどうかは分かりません。それより1ケーブル=1/10海里と考えた方が距離として捉え易いでしょう。

ファズム
1尋=およそ1.825m
1ファズム=1.8288m
1ファズム=6フィート
よく分からない単位に「ファズム」があります。日本で使用する「尋」に相当しますが,その長さには色々な定義が与えられています。要するにいい加減な単位なのかも。ですが,ファズムは今でも海面下の深さを表す単位,魚網の長さを表すときなど,種々の状況で残っています。ごく一般的な定義としては,1ファズム=6フィートと言うことですが,我々の現実的捉え方といしては,1ファズム=1/100ケーブルと言ったところでしょうか。
ヤード 1ヤード=0.9144m
1ヤード=0.5ファズム
1ヤード=3フィート
海洋冒険小説で稀に現れる単位にヤードがあります。でも海上ではあまり使用されません。
フィート 1フィート=0.3048m
1フィート=12インチ
帆船の寸法をあらわすのによく登場する単位。模型の世界では,フィートをインチで読み換える縮尺がさかんですから,縮尺は1/12の倍数になっています。

まとめとしては,次のようなことになるでしょう。 本を読むためだけならば正確な寸法は必要ありません。 従って,1マイル(海里)はおよそ2km弱,1ケーブルが200m弱,1ファズムが両腕を広げた長さ,と言う程度でよろしいのではないでしょうか。