各艦の砲備について

帆船時代の英国海軍では,1級艦から6級艦さらには級外のものまで種々の分類をしていましたが,ここでは,その7種類よりもっと細分化してその砲備をとらえてみました。 表中の砲数については,下のデッキから上のデッキに至る各デッキの標準砲門数を示しました。 3層艦なら3つ,2層艦なら2つの数字が並びます。 砲備の欄には,各層それぞれにどのような砲が配備されたかを示します。 32なら32ポンド砲,24なら24ポンド砲といった具合です。 いずれも絶対的なものではなく,標準を示すに過ぎません。
2005-10-09

艦級と砲数(下-中-上)門 砲備(下-中-上)ポンド 砲備の説明
第1級艦
30-28-30
30-30-30
32-24-12(旧)
32-24-18
最大級の100門艦の数は少ない。ロワ30−ミドル28−アッパ30門が標準だが,104門装備する30−30−30または30−32−32というものもあった。ロワデッキの砲備は,古くは42ポンド砲だがその後32ポンド砲が主流になる。ミドルデッキには24ポンド砲,アッパーデッキには12ポンド砲(一部18ポンド砲)が標準。クォーターとフォクスルには,6ポンド砲(古)か12ポンド砲(新)。なお,120門艦は,32−34−34という装備。
第2級艦
28-30-30
32-24-12(旧)
32-24-18
18世紀半ばの90門艦の砲備は,1級艦とほぼ同様。但し,フォクスルの砲備は2門,クォーターデッキには無しというもの。1778年頃にクオーターデッキに8門追加したものが登場した(98門艦)が,それでも分類は2級艦。18世紀末には衰退。
2層80門艦
32-24 1615年以降は少数しか建造されなかった第3級艦。ロアには32ポンド砲,アッパには24ポンド砲だが,この他にクォーターに9ポンド砲や12ポンド砲を装備しており,3層98門艦にも対抗できる砲備となっていた。19世紀になるとアッパは18ポンド砲に変わり,それ以前ほどパワフルではなくなってきた。
74門艦
28-28
32-18 成功をおさめた艦種であり,戦列艦の中心であった。ロアは上級艦と同じく32ポンド砲だが,アッパは18ポンド砲。3層艦のミドルデッキを無くした形だ。フォクスルとクォーターには9ポンド砲18門が標準。18世紀半ばにはアッパが24ポンド砲30門というものも(但しクォーターは2門少ない),また19世紀初頭にはアッパが18ポンド砲30門と言うものもある。カロネード砲出現以来,アッパの何門かをこれに換装しているものもあった。
64門艦 24-18 60門艦の発展形で1758年頃から建造されていた。2層デッキの砲備は,24ポンド砲と18ポンド砲だが,フォクスルとクォーターに9ポンド砲を備えていた。
50門艦 24-12 4級艦に分類される50門艦は,18世紀半ばより戦列艦としてはかえりみられなくなった。しかし,1770年代になってからは船団護衛や小艦隊の旗艦としてのよみがえった。ロワの24ポンド砲22門は64門艦に見劣りせずフリゲート艦より強力だが,帆走性能はフリゲート艦より劣っていた。フォクスルとクォーターには6ポンド砲を装備。
44門艦
22-20
18-9 第5級艦に分類される,初期2層40門艦の発展形。ロワには18ポンド砲22門。アッパの9ポンド砲は後に12ポンド砲に置き換えられていった。クォーターには武装無しだが,フォクスルには6ポンド砲2門。後日,ロワも含めカロネード砲も導入していった。
40門フリゲート 24
18
シングルデッキの本来のフリゲートとしては19世紀初頭では最大のもので,第5級艦に分類される。主砲は24ポンド砲のものと18ポンド砲のものとがあった。フォクスルとクォーターには9ポンド砲が多く配備されたが,後日カロネード砲に換装されていった。
38門フリゲート 18 18世紀末頃は,フリゲートとして一番大型のもの。ガンデッキには18ポンド砲,その他9ポンド砲を装備。「インディファティガブル」が有名で,これは24ポンド砲を備えていた。
36門フリゲート 12
18
12ポンド砲36門のこのクラスは,32門フリゲートよりやや強力である程度。18世紀終り頃になると主砲が18ポンド砲に変わり,フォクスルに12ポンド砲2門,クォーターに9ポンド砲8門。
32門フリゲート 12
18
12ポンド砲が主砲のこのクラスは,18世紀末になると120トン大きくなって18ポンド砲を装備し,別のクラスの艦の様相を見せた。
28門フリゲート 9 本来のフリゲートとしては最も早期のもの。9ポンド砲24門に加え,クォーターに初期のものは3ポンド砲,後期のものは6ポンド砲4門が装備されていた。これより下は,6級艦に分類される。
24門フリゲート 9 ロワデッキに2門,アッパデッキに20門の9ポンド砲の配列は旧式のもの(ロワに砲列が少ない点が旧式)。後にメインデッキに9ポンド砲22門,クォーターに6ポンド砲2門となった。
22門,20門フリゲート 9 通常,メインデッキに9ポンド砲20門に加え3ポンド砲2門程度。
スループ 6 古くは1本マストの船を指していたスループは,18世紀初期になってブリガンティン,ケッチ,スノウを含めた形で2本マストのものを海軍ではそう呼んでいたらしい。1750年代には,シップ帆装のスループもあったようだ。即ち,帆装のスループと艦としての分類のスループとは異なると思ってよい。8から16門を持っていたスループは,8門艦は3ポンド砲,10〜12門艦は4ポンド砲,14門艦は6ポンド砲を装備していた。1770年代になると16〜18門のものが建造されるようになった。後には,全スループが6ポンド砲を装備するようになった。
スモール・クラフト カッター
スクーナー
ガンボート
カッターは4ポンド砲10〜14門。
スクーナーは3ポンド砲4門。
ガンボート(砲艦)は32ポンドカロネード3門や32ポンド長砲1門といった大型砲を搭載したもの。艦前方が広いケッチが多い。臼砲を搭載したものは「ボムケッチ」(必要時に臼砲に積み替えたらしい)。その他にも18ポンド砲18門と言った砲艦もあったらしい。

まとめとしては,1〜2級艦は3層砲列(最下層は32ポンド砲)でそれと分かる。 3〜4級艦は2層砲列(最下層は32〜18ポンド砲)。 フリゲートは一般に単層砲列(24〜9ポンド砲)であるが,2層デッキの小型艦(戦列艦として認められていなかった艦)も一部フリゲートと呼んでいる(「コンスティテューション」は2層デッキですね)。 以上かなり大雑把な見分け方でした。

なお,上に示した砲装はあくまで標準を示したものに過ぎず,特にカロネード砲が導入されてからは盛んにそれに換装するケースが増えたことを心に止めておくべきでしょう。