英国海軍の大砲について

帆船時代の英国海軍では,種々の大砲を艦載砲として使用していました。 敵艦の拿捕が盛んだった当時としては,自国で生産されたものにとどまらず,捕獲した砲を再利用することもあったようです。 以下に砲の種類を表にしますが,その呼称が凡そ17以前と18世紀以後で異なる点にも注意していただきたいと思います。 最近では砲弾の重さによる分類ではなく,口径による分類になっていることは皆様よくご存知のことと思います。
2005-10-07

昔の呼称 その後の分類 砲の説明
キャノン
cannon-royall
66ポンド砲 海では大きすぎるため使用されなかった。
キャノン
cannon-of-seven
42ポンド砲 艦載砲としては最大級のものであったが,やがて32ポンド砲が主流になっていった。
デミ・キャノン 32ポンド砲 1650年代には,3級艦までのロワ・ガンデッキ装備の標準になった。が,18世紀初頭になると3級艦は部分的に24ポンド砲を採用するようになり,80門艦以上に限られるようになっていった。初期のものは長身。
キャノン・ペリエ
cannon-perrier
元々は砲尾装填の石弾用。後には砲口装填の鉄弾用として使用された。径6インチ,24ポンド半の弾丸だったようだが,17世紀半ばには使用されなくなっていった。
24ポンド砲 オランダから捕獲したものとしては最大級。17世紀中頃以降,小型3級艦や大型4級艦に装備されるようになり,17世紀末には60門艦のロワ・ガンデッキにも装備されるようになった。また,1級艦の副砲としてミドルガンデッキにも装備された。長さは,10フィート,9フィート6インチ,9フィートの3種類。
カルヴァリン 18ポンド砲 デミ・カルヴァリンとともに,18世紀初頭まではごく一般的に使用されていたもの。17世紀中頃までは,大型艦でも第口径砲が少なかったので,戦力の中心であった。3級艦のミドルデッキやアッパーデッキ,4級艦の主砲として使用され続けたが,その後24ポンド砲などに置換わっていった。
12ポンド砲 24ポンド砲同様に,オランダからの捕獲品にはじまる。大型3級艦のアッパーデッキで使用されたほか,18世紀には種々の用途に使用されていた。
デミ・カルヴァリン 9ポンド砲 15世紀から16世紀,エリザベス朝の頃大いに使用されたもの。18世紀中頃には9ポンド砲となるも,やがて12ポンド砲に置換わる。28門以下の艦の主砲や大型艦のクォーターデッキに残っていた。
8ポンド砲 オランダ砲が起源で,小型艦のアッパーデッキに配備された。
6ポンド砲 これもオランダ起源の砲で,同じく小型艦のアッパーデッキに配備された。
セイカー砲 16世紀末には,7,6,4.75ポンド,17世紀初頭に5ポンド3/4が標準になった軽砲。
ミニオン 4ポンド砲 セイカーよりも小型のもの。
3ポンド砲 オランダで最小の砲。
ファルコン
ファルコネット
ロビネット
2.5−3ポンド
1.75−1.5ポンド
1ポンド以下
スィーベル・ガン 砲尾装填もあった1/2ポンド旋回砲。砲尾に長いバー(ティラー)があり,通常レール上に装備されるがトップやボートにも取り付けることができた。なお,このような小口径砲は,通常の砲の数には数えられない。
マーダラー
ファウラー
ポートピース
砲尾装填の小型砲。対人殺傷用で,あっても艦に2−4門。
7連砲
sevenn-barrelled gun
7弾を同時に発射できるもので,50−74門艦のトップで使用された。1780年頃からカロネード砲出現までの短い間のもの。
カロネード砲 種々の口径があるが,短砲身で扱い易い近距離砲。通常砲の半分以下の人員で取り扱えるので,発明以来爆発的に広まった。戦列艦のフォークスルやクォーターデッキのみでなく,フリゲート艦の主砲としても使用された。
臼砲 砲弾ではなく,炸裂弾を上向きに発射する短砲身のもの。これを搭載したボムケッチは有名だが,海軍で使用されることは少なかった。陸上基地等の攻撃用。冒険小説「ラミジ艦長物語」では,停泊中の敵フリゲート艦攻撃に使用している。
チェイス・ガン バウチェイサー(艦首追撃砲),スターンチェイサー(艦尾迎撃砲)として知られているが,その実体は無い。昔は縦に戦列を組んでいたので,艦首や艦尾は他の艦で守られていた。従って通常の戦闘では艦首艦尾から砲を発射することは無く,全ての砲は舷側を向いていた。何らかの必要性から,艦首艦尾方向に発砲するときには,近くの舷側砲を移動させて使用した。もちろんそのための砲門は開いている。